大河の一滴
なんだか・・・人生の見方が変わるような本でした。
冒頭、「私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある」で始まります。
そして、敗戦後に植民地から引き揚げてくるまでの、非人間的な混乱の時代を生きたこと、自分の暗い部分も曝け出して書かれたこの本には、深い深い、絶望の中にも必ずある希望・・・というか、絶望そのものが実は希望なのだと教えて頂いた気がします。
本当のプラス思考とは、絶望の底の底で光を見た人間の全身の驚き
汚れて濁った水であっても、自分の泥だらけの足を洗うには十分ではないか。
大河の水は、ときに澄み、ときに濁る。いや、濁っているときのほうがふつうかもしれない。そのことをただ怒ったり嘆いたりして日を送るのは、はたしてどうなのか。なにか少しでもできることをするしかないのではあるまいか。
本当に深く悲しむということは、感動することですから、喜ぶのと同じように人間の生命力を活性化し、免疫力を高める。
現実にはプラス思考だけでは救われない世界があります。そして、じつはプラス思考と対をなして、大きなマイナス思考という重要な世界がある。そのマイナス思考のどん底のなかからしか本当のプラス思考はつかめない。
人工照明でキラキラと輝いている世界に一年じゅういる人が光を見たところで、べつに驚きもしなければ感動もないのではないでしょうか。
自分が、大河に身をゆだねている一滴の水であるような感覚を持ちつつ・・・